報 告 書
「森の救足」のヒトへの安全性と有効性評価
平成10年12月7日
東京医科大学 薬理学教室
主任教授 松宮 輝彦
試験報告書
試験名:「森の救足」のヒトへの安全性と有効性評価
試験目的:「森の救足」は、足の臭い、かゆみ等に対するフットケ
を目的として用いられ、その主成分は天然樹酢(木酢)である。
この天然樹酢を主成分とする「森の救足」の安全性と有効性
を評価することにより安全性の高い製品開発への情報とする
使用製品:「森の救足」原液、「森の救足」
1/2濃度、「森の救足」1/3濃度
製造元:株式会社 森林研究所
被験者:「森の救足」の使用を対象とする成人男子12名(23〜61歳)
試験方法:
「森の救足」の天然樹酢濃度をそれぞれ原液群、
1/2濃度液群および1/3濃度液群に分けて1回の使用時間を2時間に固定して皮膚刺激性等の安全性評価ならびに症状の改善をスコアリングして評価した。評価ポイントは、試験前、使用2時間後、3、7,10、14,21、31日後とし、試験部位の状態をデジタルカメラ(リコー社製DC−4)で撮影して評価した。また、使用感等に関しては、被験者にアンケートで回答してもらい使用時における自覚症状を各評価ポイント毎に評価した。被験者は、全員つめに透明マニキュアをして着色を防止し、試験を実施した。
群構成: 1群 原液使用群 片足×8名
2群
1/2濃度使用群 片足×8名3群
1/3濃度使用群 片足×8名
被験者分類: 右足 左足
Agroup:原液 1/2濃度 4名
Bgroup:原液 1/3濃度 4名
Cgroup:1/2濃度 1/3濃度 4名
試験期間:平成10年9月29日(「森の救足」使用日)から
平成10年11月2日
試験結果
1.「森の救足」使用時における自覚症状(図1、2、3)
「森の救足」使用時における自覚症状(掻痒感、刺激感、発赤、発疹、ヒリヒリ感、腫脹、ただれ、ひび割れ)の経時的変化について検討した。原液群、
1/2濃度液群および1/3濃度液群のいずれの群も使用前の総スコアに比較して経時的に減少した。特に原液群において顕著な減少を示した。すなわち、3日後以降はほとんどの自覚症状が改善していた。一方、1/2濃度液群および1/3濃度液群の間には大きな差は認められず、10日以降においてほとんどの自覚症状が改善していた。
2.「森の救足」使用時における皮膚状態の経時的変化(図4,5,6)
「森の救足」使用時における皮膚状態(着色(皮膚、つめ)、におい、皮膚むけ)の経時的変化について検討した。原液群、
1/2濃度液群および1/3濃度液群のいずれの群も2時間後をピークとして以後各項目の総スコアー(%)は減少した。皮膚むけに対しては、原液群の10日後が最も高いスコアを示した。各項目の総スコアー(%)は、原液群>1/2濃度液群>1/3濃度液群の順に高く天然樹酢濃度に依存していた。
3.「森の救足」使用時における皮膚所見の経時的変化(図7,8、9)
「森の救足」使用時における皮膚所見(紅斑、浸潤、肥厚、鱗屑、痂皮)の経時的変化について検討した。これらの所見は、デジタルカメラで試験部位を撮影し、3名の医師による総合的評価を行った。
1/2濃度液群は、経時的にスコアの減少が認められた。一方、原液群は、7日後までスコアがやや増加する傾向にあり、7日以降に急激なスコアの減少が認められた。1/3濃度液群は、10日後までスコアの変化は認められなかったが、10日後以降にスコアの減少が認められた。10日後以降において、原液群の効果は、1/2濃度液群および1/3濃度液群に比較して優れていた。
4.「森の救足」使用後の改善度(図10)
使用前の皮膚所見の総スコアを100%として「森の救足」使用後の改善度を評価した。原液群は、7日後に紅斑が強く出現したために改善度が低下したが、14日以後改善度が上昇し31日後には60%を示した。
1/2濃度液群は、症状を悪化させることなく3日後より改善度が上昇し31日後には40%を示した。一方、1/3濃度液群は3日後にわずかな改善度の減少が認められ、14日以降に改善作用が認められた。31日後は1/2濃度液群と同等の改善度を示した。
考察
「森の救足」原液、
1/2濃度液および1/3濃度液を用いてヒトへの安全性と有効性を評価した。いずれの濃度においても改善を示し、その効果は天然樹酢濃度に依存していた。特に原液群の効果は、今回検討した項目すべてにおいて顕著であり有効性が高いことが明らかとなった。しかし、原液使用7日後において紅斑が出現し改善度が減少した。皮膚所見においても7日後までスコアに変化が無かった。これらの所見より、原液は優れた改善効果を有しているが、その使用において炎症由来の紅斑が出現することが明らかとなった。紅斑の出現(7日後)した後、皮膚むけが10日後に強く現れ、以後改善したことより、その症状は軽度であると思われた。一方、1/2濃度液は、症状を悪化させることなく改善する作用が確認出来た。1/3濃度液は、1/2濃度液に比較して改善効果は同等であるが、効果出現の時期が遅れていた。以上の結果より、1/2濃度液は、安全性でかつ有効性を示す濃度であると思われた。しかし、その改善度は31日後において40%と原液群の60%に比較して多少低い値を示していた。特に今回の試験では、単回使用時での評価であった為に1/2濃度液の改善度が低くなったものと思われる。従って、安全性の高い1/2濃度液群を繰り返し使用することにより、安全でより高い改善効果が得られるものと確信される。注、フットビューは、森の救足を製造している、株式会社森林研究所が製造したものであり、同じ天然樹酢を使っています。